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Betaのクラッチポンプをφ26に

 まあ例えのお話ですが人を殴る場合に、ボクシングのジャブのように近距離からチョンチヨンと顔面に当てるよりも、大きく振りかぶって顔面ストレートで殴った方が効きますよね。でもまあ、ボクシングの場合は「大きく振りかぶってはよけられます」ので、効き目の少ないジャブでけんせいしている次第。

今回は、この部品の中身のお話です。


クラッチの切れとつながりは、以下の関係です。

1)クラッチポンプの中のピストンの動く距離が短ければ、クラッチコルク板とクラッチ鉄板の開く距離が少なくなり、ボクシングのジャブと同じで「操作は軽くなりますが、切れとつながりは悪く」なります。

2)逆にピストンの動く距離が長ければ、ボクシングのストレートと同じで、クラッチコルク板とクラッチ鉄板の開く距離が多くなり「操作は重くなりますが、切れとつながりはよく」なります。

という事で、ダイアフラムタイプでない「巻き巻きスプリング」を使っているオーソドックスなクラッチシステムのBetaは、この1回のクラッチレバーを引く事により「どのくらいクラッチピストンが移動するのか」が勝負の決め手。

閉じ込められた空間の中でのオイル移動の「パスカルの原理」ウンヌンという難しいお話はパスして、ピストンの径が大きければボクシングのジャブのように「軽いタッチですが効きが甘い」で、径が小さければ「重くなりますが強烈に効く」と思ってください。

BetaMotorのBeta-EvoであれBetaRev-3であれ、新車のスタンダードのクラッチポンプのピストンは「φ28」が新車にはついています。で、少しクラッチが重くなっても構わないので「切れとつながり」が、もう少しパンチの欲しいライダー用にオプションとして「φ27」が純正部品として販売されています。参考までに全日本ライダーは皆さん、このφ27ですね。

だから、好むと好まざるとにかかわらずBeta純正パーツのクラッチポンプは「φ28とφ27」しかありませんので、このサイズを使うしか選択の余地はありません。

黒山健一選手はBetaMotorの契約ライダー時代に、たくさんの径のクラッチポンプピストンのテストをしました。で、まあこのへんが民間人ライダーにはいいだろうとなったのが「φ28とφ27」の2種類です。

上はφ30から下はφ24まで0.5刻みの径のピストンをテストしました。結果、φ24なんてむっちゃ重いけど「切れとつながり」は群を抜いていて、φ30は小指で操作できるくらいに軽いけど「切れも悪いしつながりにパンチ」がありません。



さて今回のお話の本題、Betaに乗っている皆さんにもう時効だからバラしてもいいけど、ランプキンも健一も「φ26」で乗っていましたので、一度「φ26のクラッチの世界」をお試しあれ、というのが本題です。

当時のBetaRev-3も今のBeta-Evoも「クラッチポンプピストン」にバックアップスプリングを使うは、その発想もなかったようで使っていませんでしたし、今でもBeta車にはこのバックアップスプリングは使っていません。

ですが今現在「バックアップスプリングの有効性」が認められて、うちにあるBeta-Evoに「バックアップスプリング付きφ26クラッチポンプピストン」を付けてテストしてみますと、理論的には重くなるはずなんだけど、バックアップスプリングのせいかそうは重くならずに「切れとつながり」だけがφ27よりも体感的によくなります。

ちなみに新製品をテストする場合、一番大切なのは「テストライダーの質レベル」ですね。3メートルの高さから飛び降りても大丈夫な前後サスペンションをテストする場合、1メートル以上は怖くて飛び降りられないイチローさんが、1メートル限界でテストしても意味がないのと同じです。

BetaMotor契約時代にBetaMotorが作った試作の「φ26のクラッチポンプ本体+クラッチピストン」をまだ隠し持っていますので、これと同じものを採寸して丁寧に製作いたしました。と同時に「+これ用の2種類のOリング+バックアップスプリング」も用意いたしました。

・φ26のクラッチポンプ本体 *外部の本体は良い中古品ですが、中身のシリンダー部分は新品です。

・φ26のクラッチポンプピストン *もちろん新品です。

・φ26用の2種類のOリング →スペアも欲しい方は2本セットで+800円

・巻き巻きバックアップスプリング *絶対に折れないのでスペアは必要なし。

の4点セットで、一度お試しあれ18,000円(税別)でいかがでしょうか。

このセットを買ってお試しをいたしましたけど、やっぱり元の方がいい方には「すぐに元の状態」に戻せるのがよろしいですね。投資の18,000円は「授業料、勉強代、投資」としておあきらめいただくか、誰か他のBetaライダーにお譲りください。でもこのφ26の「切れとつながり」を知ってしまったら、もう元には戻せませんよ。

なんで当時のBetaMotorは、当時からランプキンも健一も使っていたφ26を市販車では採用しなかったのか。これは多分、今になって思うに「バックアップスプリングの存在がなかった」からではないかと考えます。このφ26とバックアップスプリングは見えない秘密の部分だけに、BetaMotorのワークスライダーは今現在使っているかもしれませんが、これは分からずです。

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株式会社黒山レーシング:部品製作室/黒山一郎